「令和7年度の住宅ローン減税は、これまでの制度と比べて何が変わるのだろう?」
「今回の改正で、自分たちの住宅購入計画に影響があるのか知りたい。」

住宅ローン減税制度の基本は理解しているものの、毎年のように行われる税制改正の内容までは追い切れていない、という方も多いのではないでしょうか。特に、これから住宅の取得やリフォームを検討されている方にとっては、最新の改正情報は非常に気になるところです。

この記事では、国土交通省から発表された令和7年度税制改正の報道発表資料に基づき、住宅ローン減税に関する主な変更点をピックアップし、変更前の制度と比較しながら分かりやすく解説します。今回の改正で何がどう変わるのか、そのポイントを総まとめしましたので、ぜひご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。

令和7年度税制改正における住宅ローン減税の主な変更点

今回の令和7年度税制改正では、住宅ローン減税に関して、特に子育て支援の観点からの継続・拡充措置が注目されます。また、リフォームに関する税制やその他の住宅関連税制にも延長や拡充が見られます。ここでは、その主要なポイントを速報として簡潔にまとめます。

住宅ローン減税:子育て世帯等への優遇措置が令和7年も継続

最も大きなポイントは、子育て世帯や若者夫婦世帯に対する住宅ローン減税の借入限度額の上乗せ措置が、令和7年(2025年)の入居についても継続されることです。これにより、対象となる世帯は、一般世帯よりも高い借入限度額で住宅ローン減税のメリットを享受できます。

  • 対象世帯
    19歳未満の扶養親族がいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯など。

  • 控除率・控除期間
    控除率は0.7%、控除期間は新築住宅等で最大13年(条件による)という基本的な枠組みは維持される見込みです。

  • 床面積要件の緩和措置も延長
    合計所得金額1,000万円以下の世帯については、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅も対象となる緩和措置が延長されます。

子育て対応リフォーム税制の延長

子育て世帯や若者夫婦世帯が行う、子育てに対応したリフォーム工事に対する税制優遇措置(工事費用の10%を所得税から控除、上限25万円)も延長されます。転落防止手すりの設置や対面式キッチンへの変更などが対象です。

その他の住宅関連税制も延長・拡充

上記に加え、不動産取得税や固定資産税における特定の住宅(買取再販住宅、サービス付き高齢者向け住宅、老朽化マンションの再生など)に対する減税措置の延長や拡充、さらに老朽化マンション再生事業に関する法人税・消費税等の特例措置の新設・拡充も盛り込まれています。

これらの変更点は、質の高い住宅ストックの形成を促しつつ、特に子育て世帯の住環境向上を支援しようという国の意向が強く反映されたものと言えるでしょう。詳細については、次の章で変更前と比較しながら具体的に見ていきます。

家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら
家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら

【詳細解説】各変更点のポイントと影響(変更前との比較)

前述した令和7年度税制改正における住宅ローン減税および関連税制の主な変更点について、ここではそれぞれ具体的な内容や、これまでの制度と比較して何がどう変わるのか、そしてそれが私たちにどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。

変更点1:住宅ローン減税における「子育て世帯等への優遇措置」の継続

今回の改正で最も注目されるのが、子育て世帯および若者夫婦世帯(以下、「子育て世帯等」)に対する住宅ローン減税の借入限度額上乗せ措置が、令和7年(2025年)の入居についても継続される点です。

変更前の状況(令和6年(2024年)入居の場合)

令和6年度の税制改正において、子育て世帯等が2024年中に入居する場合に限り、一般世帯よりも高い借入限度額が設定され、控除期間も最大13年となる特例が設けられていました。これは、少子化対策および若い世代の住宅取得支援を目的とした時限的な措置とされていました。

令和7年度からの変更内容(継続措置)

この借入限度額の上乗せ措置が、令和7年(2025年)入居についても継続されることになりました。これにより、対象となる子育て世帯等は、引き続き一般世帯よりも有利な条件で住宅ローン減税を活用できます。

【対象となる「子育て世帯等」の定義】

  • 19歳未満の扶養親族がいる世帯
  • 夫婦のいずれかが40歳未満の世帯 など

【令和7年入居の場合の借入限度額の例】

新築住宅・買取再販住宅

住宅の種類一般世帯の借入限度額子育て世帯等の
借入限度額
上乗せ額
認定住宅
(長期優良等)
4,500万円5,000万円+500万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円+1,000万円
省エネ基準適合住宅3,000万円4,000万円+1,000万円
その他の住宅
(非省エネ等)
対象外対象外

既存住宅

住宅の種類借入限度額
長期優良住宅
低酸素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅2,000万円

【控除率・控除期間】

  • 控除率: 0.7%(変更なし)
  • 控除期間: 新築住宅や買取再販住宅の場合、子育て世帯等については引き続き最大13年間の控除期間が適用される見込みです。

この変更による影響・注意点

この継続措置は、子育て中の世帯やこれから子育てを始める若い夫婦にとって、大きな朗報と言えるでしょう。住宅価格が高止まりする中で、より質の高い、あるいは少し広めの住宅を選択しやすくなる可能性があります。

注意点としては、

  • ご自身が「子育て世帯等」の定義に該当するかを正確に確認する必要があります。
  • 対象となる住宅の省エネ性能によって限度額が大きく異なるため、住宅選びの際には省エネレベルを意識することが引き続き重要です。
  • 「その他の住宅」(省エネ基準に適合しない住宅)については、子育て世帯等であっても新築では原則対象外となるなど、厳しい条件が設けられている点に留意が必要です。

変更点2:住宅ローン減税における「床面積要件の緩和措置」の延長

住宅ローン減税の適用を受けるためには、住宅の床面積にも一定の要件があります。原則として50㎡以上とされていますが、合計所得金額が1,000万円以下の世帯については、40㎡以上50㎡未満の住宅も対象とする緩和措置が設けられています。

変更前の状況

この床面積要件の緩和措置は、令和6年末までの入居が対象とされていました。

令和7年度からの変更内容(延長措置)

この床面積40㎡以上からの適用となる緩和措置が、令和7年(2025年)の入居についても延長されることになりました。

この変更による影響・注意点

特に都心部や単身・DINKS世帯など、コンパクトな住宅を検討している方にとっては、引き続き住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなるメリットがあります。ただし、この緩和措置の適用には合計所得金額1,000万円以下という所得制限がある点に注意が必要です。

変更点3:子育て対応リフォーム税制の延長

住宅ローン減税とは別の税制優遇措置ですが、子育て世帯等が行う特定のリフォーム工事に対する所得税の控除制度も、今回の改正で延長されることになりました。

制度概要と変更内容(延長措置)

  • 対象者: 子育て世帯・若者夫婦世帯
  • 内容: 対象となるリフォーム工事費用の10%を所得税額から控除
  • 控除上限額: 25万円
  • 対象工事例:
    • 子供の安全性を高める工事(転落防止手すりの設置など)
    • 家事負担を軽減する工事(対面式キッチンへの変更、食洗器の設置など)
    • 防犯性を高める工事(玄関ドアの交換など)
    • 収納増設、防音工事、間取り変更など、子育てしやすい住環境整備のための工事

この制度が令和7年以降も継続されることで、子育て中の世帯がより安全で快適な住環境を実現するためのリフォームを行いやすくなります。

この変更による影響・注意点

住宅ローン減税と直接関係はありませんが、リフォームを検討している子育て世帯等にとっては、減税の選択肢が増えることになります。対象となる工事の範囲や申請手続きなどを確認し、賢く活用しましょう。

内容を理解し、顧客に不利益が生じないよう適切に対応することが非常に重要になります。住宅取得者としては、信頼できる事業者に相談し、最新の運用ルールに基づいたアドバイスを受けることが大切です。

家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら
家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら

令和7年度改正で「変わらなかった点」と引き続き重要なポイント

令和7年度の税制改正では、特に子育て世帯等への支援継続といった重要な変更がありましたが、一方で、住宅ローン減税制度の基本的な枠組みや、これまでも重視されてきたポイントについては、引き続き変更がない部分も多くあります。ここでは、今回の改正で「変わらなかった」主要な点と、住宅ローン減税を賢く活用する上で、今後も押さえておくべき重要なポイントを再確認しましょう。

控除率0.7%は維持

まず、多くの方が気になる控除率については、現行の0.7%が維持される見込みです。これは、年末の住宅ローン残高に対して、最大で0.7%が所得税などから控除されるという計算の基本となる数値です。この率に変更がないため、借入額や住宅の性能に応じた控除額の基本的な考え方はこれまでと同様です。

省エネ性能の重要性は引き続き変わらず、むしろ高まる傾向

今回の改正でも、子育て世帯等への優遇措置の対象となる住宅には一定の省エネ性能が求められています。また、一般世帯においても、省エネ性能が高い住宅ほど借入限度額が高く設定されるという基本的な仕組みは維持されています。

特に、新築住宅においては、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」は原則として住宅ローン減税の対象外となるという大きな方針に変更はありません。これは、国が省エネ住宅の普及を強力に推進していることの表れであり、今後もこの傾向は続くと考えられます。

これから住宅を取得する方は、住宅の省エネ性能が減税メリットに直結するという点を強く意識し、住宅選びや設計の段階から、どのレベルの省エネ性能を目指すのかを慎重に検討する必要があります。

手続きの基本的な流れ(確定申告など)に大きな変更はなし

住宅ローン減税を受けるための基本的な手続きの流れ、つまり、入居した翌年に確定申告を行うという点や、会社員の方が2年目以降は年末調整で手続きできるという点についても、今回の改正で大きな変更があったという情報はありません。

引き続き、必要な書類を準備し、期限内に正しく申告することが重要です。特に、省エネ性能を証明する書類などは、住宅の種類や性能によって異なりますので、早めに確認し、不備なく準備するようにしましょう。

その他、引き続き注意すべき重要なポイント

  • 所得要件の確認
    合計所得金額2,000万円以下という所得要件は引き続き適用されます。ご自身の所得がこの範囲内であるかを確認することが必要です。

  • 床面積要件の確認
    原則50㎡以上、所得1,000万円以下の場合は40㎡以上という床面積要件も継続されます。特にコンパクトな住宅を検討している場合は注意が必要です。

  • 適用期限の意識
    住宅ローン減税制度そのものには、適用期限が設けられています。現行の制度は令和7年末までの入居が対象とされていますが、その後の制度がどうなるかは未定です。住宅取得のタイミングを検討する際には、こうした期限も意識しておく必要があります。

  • 最新情報の確認
    税制は毎年のように見直される可能性があります。住宅ローン減税に関する情報は、国土交通省や国税庁のウェブサイト、信頼できる専門家などを通じて、常に最新のものを確認するように心がけましょう。

今回の改正で変更があった点だけでなく、こうした変わらない基本的なルールや注意点をしっかりと押さえておくことが、住宅ローン減税を最大限に活用し、後悔のない住宅取得計画を立てるために不可欠です。

家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら
家づくりや土地探しについてお気軽にご相談ください お問い合わせはこちら

まとめ:令和7年度住宅ローン減税改正のポイントと今後の備え

この記事では、国土交通省発表の令和7年度税制改正情報に基づき、住宅ローン減税に関する主な変更点とその影響について解説してきました。

今回の改正における最大のポイントは、子育て世帯および若者夫婦世帯に対する借入限度額の上乗せ措置が令和7年(2025年)入居についても継続されることです。これにより、対象となる世帯は引き続き、一般世帯よりも有利な条件で住宅ローン減税を活用できる道が維持されました。また、所得1,000万円以下の世帯に対する床面積要件の緩和措置も延長されるなど、特定の層への配慮が見られる内容となっています。

一方で、控除率0.7%や、新築住宅における省エネ基準適合の原則必須化といった基本的な枠組みは維持されており、住宅の省エネ性能が減税メリットに直結するという流れは今後も変わらないでしょう。

これから住宅の取得やリフォームを検討される方が、今回の改正を踏まえて注意すべき点は以下の通りです。

  • ご自身が子育て世帯等の優遇措置の対象となるかを正確に把握する。
  • 取得する(あるいはリフォームする)住宅の省エネ性能をしっかりと確認し、どの借入限度額が適用されるのかを理解する。
  • 所得要件や床面積要件など、基本的な適用条件を満たしているかを確認する。

住宅ローン減税制度は、賢く活用すれば大きなメリットがありますが、制度内容は複雑で、今後の税制改正によって変更される可能性も常にあります。そのため、国土交通省や国税庁のウェブサイトなどで最新情報を継続的に確認するとともに、具体的な計画を進める際には、住宅会社や設計事務所、税理士、ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談し、ご自身の状況に合わせた最適なアドバイスを受けることを強くおすすめします。