建物の高さには、地域ごとに規定があるのをご存じでしょうか?

特に、第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域などでは、「絶対高さ制限」と呼ばれるルールが適用され、建物の高さに厳しい上限が設けられています。

この制限があることで、地域の景観や住みやすさが守られていますが、どのような理由で設けられているのか、また例外はあるのか気になる方も多いでしょう。

そこで今回は、絶対高さ制限について分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたの住む街の建物の高さが決まる仕組みがわかりますよ。

絶対高さ制限とは

絶対高さ制限とは、簡単に言うと、建物の高さを決めるルールのことです。

特に、一戸建て住宅が多いような静かな住宅街では、高い建物が建つと、日当たりが悪くなったり、風通しが悪くなったり、景観が損なわれたりといった問題が起こることがあります。
そこで、住みやすい街を作るために、法律で建物の高さを制限しているのです。

絶対高さ制限は、どこで決まるの?

絶対高さ制限は、都市計画によって決められています。
都市計画とは、その地域をどのように利用していくのかを定めた計画のことです。

都市計画の中で、住宅地や商業地域など、土地の用途が決められ、それぞれの用途に合わせて建物の高さも制限されています。

絶対高さ制限の対象になるのは、どんな地域?

絶対高さ制限の対象となるのは、主に一戸建て住宅が多い低層住宅専用地域です。
具体的には、「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「田園住居地域」の3つの用途地域が絶対高さ制限の対象となります。

これらの地域は、静かで落ち着いた住宅地として整備されているため、高い建物が建つことを防ぎ、住みやすい環境を守ることが目的とされています。

特に第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域では、低層住宅が並ぶ静かで落ち着いた街並みが魅力です。

絶対高さ制限が適用される用途地域

絶対高さ制限は、「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「田園住居地域」の3つの用途地域で、落ち着いた住環境を保つために定められています。
ここからは、絶対高さ制限が適用される用途地域の具体的な特徴について見ていきましょう。

第1種低層住居専用地域

第1種低層住居専用地域は、都市計画法によって「低層住宅の住環境を守るため」に設けられた地域です。
この地域では、住居が中心となり、住民にとって静かで落ち着いた生活が維持されるよう、さまざまな規制がかけられています。

建ぺい率容積率といった建物の規模を決めるルールに加えて、建物の高さも10mまたは12m以下に制限されています。
この高さ制限は、地域の都市計画でどちらが適用されるか決まります。

この地域では、住宅や図書館、幼稚園などの公共施設は建てられますが、大学や病院、工場といった大規模な施設は建設が禁止されています。
これにより、地域全体が穏やかな住宅街として機能し続けることが保証されているのです。

第2種低層住居専用地域

第2種低層住居専用地域は、第1種低層住居専用地域と同様に、住みやすい住環境を守るために設定されています。
ここでも建物の高さは10mまたは12m以下に制限されており、建ぺい率や容積率も厳しく管理されています。

ただし、この地域では日用品を扱う小規模な店舗や、パン屋のような軽作業を行う小規模な工場(50㎡以下)も建てることが認められています。

そのため、第1種よりもやや商業的な要素が含まれているものの、大きな店舗や事務所、工場は許可されていないため、落ち着いた住宅街の雰囲気が保たれています。

建ぺい率や容積率について詳しく知りたい方は、関連記事「建ぺい率(建蔽率)・容積率とは?それぞれの計算方法や違い、緩和方法を徹底解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

田園住居地域

田園住居地域は、都市の中でも農地と住宅が共存するエリアです。
この地域も、10mまたは12m以下の高さ制限が設けられており、低層住宅と農業が調和した環境が維持されています。

田園住居地域では、農業を営むことが可能で、住宅地としても適しているため、静かで穏やかな生活が送れる地域となっています。
また、この地域は特に高い建物が立つことを避ける方針が取られており、緑豊かな景観と低層住宅の組み合わせが特徴です。

農地との調和を考えた設計や建物の高さ制限が地域全体の雰囲気を守り、安心して生活できる環境が確保されています。

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絶対高さ制限が緩和されるケース

前述した3つの用途地域では、建物の高さは絶対高さ制限によって厳しく定められていますが、例外的に緩和されるケースがあります。
今回は、絶対高さ制限が緩和されるケースについて詳しく解説していきます。

1.周囲に広い公園がある場合

建物の周囲に広い公園や広場などがあり、その建物が周囲の住環境に悪影響を与えないと判断された場合は、絶対高さ制限が緩和されることがあります。
例えば、公園内に文化施設を建設する場合などが挙げられます。

2.学校などの公共施設の場合

学校や病院などの公共施設は、その用途上、高い建物が必要な場合があります。
このような場合は、絶対高さ制限が緩和されることがあります。

3.塔屋が設置されている場合

最上階に塔屋が設置されている建物の場合、その高さが制限の対象外となることがあります。

ただし、塔屋が建物面積の8分の1以内で、高さが5m以下といった細かい条件を満たす必要があります。
塔屋が階段室や昇降機塔など、建物機能上必要なものである場合、このルールが適用されます。

絶対高さ制限と最高高さ制限の違い

絶対高さ制限と似た言葉で、「最高高さ制限」と呼ばれる規制もあります。

まず、絶対高さ制限は主に戸建て住宅が並ぶエリアに適用される制限です。
この制限の目的は、低層住宅が建ち並ぶ地域で、高い建物が周囲の景観や住環境を壊さないようにすることです。

具体的には、第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域、田園住居地域で建物の高さが10mまたは12m以下に制限されます。

これにより、低層住宅のエリアでは一貫した景観が保たれ、住民にとっても落ち着いた住環境が確保されます。
高いビルやマンションが隣に建ってしまうと、圧迫感が生まれたり、日照が遮られるといった問題が発生する可能性が高くなります。絶対高さ制限は、こういった問題を未然に防ぐためのルールなのです。

一方、最高高さ制限はより広範囲の用途地域に適用される制限です。
これは、低層住宅地だけでなく、商業地や準工業地域など、さまざまなエリアで適用されることが特徴です。

最高高さ制限は、主に日照や採光、通風を確保するために設けられており、地域によって異なる高さの上限が設定されています。

この制限は、建物が周囲の建物や住民に悪影響を与えないように、適切な高さのバランスをとることを目的としています。
つまり、絶対高さ制限が「低層住宅エリアの景観保護」を目的としているのに対し、最高高さ制限は「日照や風通しの確保」を優先しているのです。

絶対高さ制限以外の建築物の高さに関する規制

絶対高さ制限以外にも、建物の高さを制限するルールはいくつか存在します。
今回は、その中でも代表的な「斜線制限」と「日影規制」について詳しく解説していきます。

斜線制限

斜線制限とは、建物が周りの建物や道路の日当たりや風通しを妨げないように、その高さや形を制限するルールです。
言い換えれば、斜線制限は建物を建てる際に守るべき「マナー」のようなもので、あなたの家が周囲に悪影響を与えないようにし、逆に周囲からも迷惑をかけられないための規制です。

斜線制限には、主に3つの種類があります。

道路斜線制限

道路に面した建物の場合、道路の日当たりや風通しを保つために設けられたルールです。
建物が道路に接する際、道路から一定の勾配で斜線を引き、その斜線を越える高さの建物を建てることはできません。この制限により、道路に面した場所でも、通行する人や近隣の建物に十分な日差しと風が行き渡るようになっています。

隣地斜線制限

隣接する敷地の住民の快適な生活環境を守るため、隣地に面する建物にも高さ制限があります。
隣の土地の境界線から一定の高さで斜線を引き、その斜線を超える高さの建物を建てることはできません。
これにより、隣人の日当たりや風通しが保たれ、お互いに住みやすい環境が維持されます。

北側斜線制限

特に南向きの採光を大事にする日本では、南側に建つ建物が北側の家の日当たりを奪わないようにするためのルールです。
南側に建つ建物は、北側の隣地に十分な日光が当たるように、一定の高さ制限を守る必要があります。これにより、北側の家に十分な日光が差し込む環境が保たれます。

斜線制限について詳しく知りたい方は、関連記事「斜線制限とは?用途地域との関係性やその他の規制についてわかりやすく解説!」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

日影規制

日影規制は、建物が影を作り、周囲の土地の日当たりを妨げないようにするためのルールです。
特に高層建築物が増える地域では、この規制が非常に重要になります。

冬至の日を基準に、影がどれくらいの時間、隣の土地にかかるかが測定され、その時間が一定を超えないように建物の高さが制限されます。

例えば、午前8時から午後4時までの間に一定以上の日影を周囲に作らないように、建物の高さが調整されます(北海道では午前9時から午後3時)。

これは、高層建物が増えることで、住民の「日照権」が侵害されないようにするためです。
地域や自治体によって規制の内容が異なりますが、特に低層住宅地では厳しく適用されるケースが多いです。

日影規制について詳しく知りたい方は、関連記事「日影規制とは?用途地域別の規制範囲や注意点をわかりやすく解説!」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

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いかがでしたでしょうか?
絶対高さ制限は、絶対高さ制限は、私たちの住む街の景観や生活環境を守るために、とても重要なルールです。

もし、あなたが家を建てたいと考えているのであれば、建物を建てる予定の土地が、どのような地域に指定されているのか、そして、どのような高さ制限が適用されるのかを事前に確認しておくことをおすすめします。

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